日記。

日々の徒然を書き留めてます。

インド旅行6-2

3/7(火)02:30〜
『セックスしない?』
「どこで!?」
すぐに否定すれば良かったのかもしれないが、動揺しすぎて場所のほうを聞いてしまった。これではまるで、こちらも進展を望んでるみたいじゃないか。
『向こうで』
彼の視線の先をたどると駅の外れのほうにある草むらがあった。青姦・・・。いや、場所はどうでもいい。とにかく僕は断り続けた。当然、”異国の地ルール”に従って笑顔は絶やさない。しかし今はこの笑顔が裏目に出て、僕のヘラヘラした態度に男は勝機を見出したのだろう。次第に男の顔が真剣になってきた。これは冗談じゃない、俺は本気だぞ。みたいな感じで。おいおい、冗談じゃないぞ。
『I'm so...I'm so...』
耳元で囁かれ続けた。頭がおかしくなりそうだった。このI'm soは終始言われ続けた言葉だが、最後まで意味はわからずじまいだった。
弱ったなあ。人生で初めて自分が熱烈な性対象になった気がする。しかし、意外なことに嫌悪感はあまり感じなかった。これは僕にそっちの気があるから、というわけではなく、もしレイプされようものならいつでも反撃できる自信があるからだと思う。また、この状況下で僕もおかしくなっていたのかもしれないが、「No!!」「I'm normal!!」と断り続けているうちに、ひょっとして今の環境は逆に安全なのではないか?と思うようになってきた。事実、この男に言い寄られているおかげで他のインド人から話しかけられることは無くなった。
熱烈なアプローチを受けながらも、僕はあることを考えていた。もし僕が反撃能力のないか弱い女性だったら、今の環境をどう感じていただろう。恐怖におののいているか、それとも案外今と変わらない心情なのか。『I'm so...』と言い続ける男が、僕にはだんだん刃に見えてきた。しかし、その矛先は僕だけでなく外にも向いている。なるほど、男は諸刃の剣だ。攻撃性。物理的な力。権威。どれも人々を牽制するのに必要な要素だ。そんで、この要素に対する姿勢が各々の行き方を分かつのだろう。以前誰かがツイッターで、”男子の一生は権威に歯向かったときから始まる”みたいなことを言っているのを思い出した。ならば女性の場合はどうか。僕ならばこう言う。”女子の一生は権威を利用してから始まる”。大雑把な主語だが、自分でも面白い見方だと思った。
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f:id:gaku-diary:20230328033331j:imageその後はちょくちょく移動を繰り返し、チャイやタバコを奢られる始末。果ては男の敷いた毛布の上で雑魚寝した。結局、僕は必死に「No!!」と言いながらも男から離れようとはしなかった。僕が彼にやったことは、相手の好意を利用して自分の利だけを最大化する行為だ。正直、自分がやられたらとても嫌なものだ。しかし生き延びるにはこれが最善手。僕はこの時、僕の嫌いな女になった。
1時間ほど寝ただろうか。僕と男は外に移動した。下半身丸出しで寝転がっている少女を横に、ベンチに腰掛ける。この間も男のアプローチは止まらない。ついに男は、ズボン越しにけたたましく勃起したチ◯コを僕に見せつけた。『I'm so...』悲鳴にも似たうめき声が口から漏れていた。彼はもう限界みたいだった。今が引き時だろう。「Sorry...」僕はそう言って男の元から立ち去った。まだ夜は明けない。