日記。

日々の徒然を書き留めてます。

僕とスズメ

9/15(木)

最近、お昼休憩を近くの公園で過ごすことにしている。夏も過ぎ去り、涼しい風に揺られながらパンをかじる。これがまた大変気持ちいい。

ゆっくりとパンを口に運ぼうとしたとき、背後に不穏な気配を感じた。2つの黒い影。目が光っている。・・・来たな。スズメのカップルだ。
奴らとの出会いは2日前。パンをくわえたままウトウトしていたら、一羽の小さなスズメが物憂げにこちらを見上げてきた。よく見るとそいつは毛並みも良くなく、さっきまでジャイアンにいじめられていたのび太のようだった。身体は小さく、ボロボロだ。周りには図体のでかいハトがうろついている。きっと、明日をも知れぬ我が身なのだろう。・・・しかたない。「餌やり禁止!」の立て看板を横目に、小さな小さな一欠片を放り投げてやった。やれやれ、弱々しい目で見つめられると僕も弱い。あとは頑張れ、と再び眠りにつこうとしたらさっきのスズメがもう戻ってきた。なんだもう食ったのか、図々しいなこいつ。食べるスピードを見るために、もう一度ほうる。目にも止まらぬ速さでついばみ、僕から4〜5m離れた位置に着陸する。シティバードのくせに警戒心を残しやがって、と思っているとそばの石垣の裏から、可愛らしいスズメがちょこん、と出てきた。は!まさかこいつ!?そのまさかだった。自分がくわえていたパンくずを可愛らしいスズメに渡したのだ。・・・なるほど、そういうことか。その後数回やっても結果は同じだった。自分の分は後回しで、僕が与えたパンは全てメススズメの腹の中に収まった。ボロボロになりながら、小さな身体でリスクを冒し、メスのためにパンを獲得する。英語圏では"稼ぎ手"のことをbreadwinner(パンの獲得者)と呼ぶらしいが、まさしくその姿だった。負けたよ。僕は何事にも必死になれない。同じオスとして、君にエールを贈ろう。今度は少し大き目のパンくずをやった。これは二羽分の量だよ。彼は颯爽とついばみ、彼女の元へと向かう・・・と、思われた。ん?よく観察してみると、彼はパンくずをくわえたまま彼女の周囲をピョンピョン跳ね、ついてくるのを確認したら今度は逃げるように距離をとった。そして彼女が自分のところまで来ると、「しょ〜がねぇなあ」って顔をして渋々とパンを渡した。なんだこいつ!?俺のあげたパンをそんな風に使うなんて許せない。モテなすぎてこうなってしまったのか?その後数回やっても結果は同じだった。突如剥き身になって現れた醜さが恐ろしく、腹立たしい。もう彼らのことはモテない男とオタサー姫のコンビにしか見えないf:id:gaku-diary:20220915165654j:image
―――――そして今日。奴らは懲りずに僕の元へやってきた。こころなしかオスの目つきが悪くなってる気がする。ふん。僕は足元にいるオスを無視し、少し遠くにいるメスのほうに向かってパンくずを投げてみた。メスのほうが先にパンを取ってしまったら、もうお前立場ないもんな。するとオスはメスを突き飛ばし我先にとパンくずを拾った。その後焦らし、もったいぶって渡す。ハハハ、必死だな。今日はそれを4〜5回繰り返した。疲れ果てたオスは、初めて会ったときと同じ目で僕を見てきた。