日記。

日々の徒然を書き留めてます。

インド旅行6-3

3/7(火)05:30〜
自分が予想していたよりも、夜明けまではまだ時間がかかるみたい。僕は再び駅構内に戻り横になることにした。こころなしか人の通りも多くなってきたようだ。視界の隅で老人が寝ているのに気付いた。他の雑魚寝客は大なり小なり自分の荷物を持っていたが、その人は布団(というか布)以外手ぶらのように見えた。擦り切れた服を来ており、言っちゃ何だが身なりも相当汚い。途端に老人が痙攣し始めた。えっ!?驚いて凝視していると、ますます激しくなってきた。しかしものの数分で痙攣は収まったようだ。ふうぅ、と老人は息を吐き、再び眠りについた。なんだろう、僕以外誰も気にしていなかったのが現実だった。ああいった、どうしようもなく不幸な人が身近にいるのが当たり前なのだろう。
先程閉まっていたホテルは1泊だけの予定で、バラナシ2日目以降はガンジス川近くのゲストハウスを予約していた。だから僕は夜明けと同時にそのゲストハウスに向かおうと考えていたが、よく考えたら朝の5時とか6時からフロントが開いていると思えない。正直体力も限界で一刻も早くベッドで横になりたい気分だったが、このまま夜明けのガンジス川へ行くことに決めた。空がゆっくりと白みを帯びてきた。まだ早いかな、と思ったがこれ以上ここにいるほうが苦痛だった。固まった腰を持ち上げ、立ちくらみを無視しながら駅を出る。リキシャに乗り込み、いざガンジス川へ。
吹きさらしのリキシャ。ビュンビュン冷たい風が入りこんでは抜け去っていく。一瞬目が覚めたが、すぐその後に眠気が襲ってくる。15分ほど走っただろうか。じつは駅からガンジス川までは少し距離がある。『ここから先は入れない』と言われむりやり降車させられる。言われなくともガンジス川の方向はすぐに分かった。今立っている石畳の道は1本だけだし、その先が薄っすらと明るくなっている。吐いた息が白かった。途端、僕の中の何かがバッチリと目を覚ました。自然と早歩きになる。声をかけてくるインド人を全員無視して、無我夢中で光の元へと急いだ。

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ついにたどり着く。ガンジス川だ。小さく赤い、線香花火のような太陽が川の向こうに見えた。やっとだ・・・。火照った体とは別に、朝日がじんわりと僕の体を温めてくれた。12時間列車に揺らた後に一晩中ホモに言い寄られ、身も心も疲弊しきっている。荷物のせいで肩も痛い。タバコもバカスカ吸って、おまけに歯磨きもしていなかったから口の中がネバネバしている。満身創痍。ボロボロ。でも、今は何も考えなくていいや。例え僕が外国人でも、犯罪者でも、裏切り者でも、誰でもすっぽりと包み込んでくれるような朝焼けだった。f:id:gaku-diary:20230328033531j:image