日記。

日々の徒然を書き留めてます。

インド旅行7-3

3/8(水)12:00〜
しばらく周辺を練り歩いた。”いつものバラナシ”とか知らないけど、今の状態が非日常的なものであることは分かる。学生のときに居酒屋バイトをしていたのだが、それは酔っ払っている人を見るのが好きだったからだ。人のあられもない姿を見ることに快感を感じる。そしてこの時ばかりは、僕も周りの空気に触発されて少し高揚していた。
屋台で軽食を摂り、飛び込んでくるインド人たちをかわす。その最中、道路に囲まれて陸の孤島になっているところに掘っ立て小屋があるのに気付いた。よく見ると小さなヤギも繋がれている。そしてどういうわけか、小屋の周りにいる人間には色水がかかっていなかった。まるでそこだけが隔絶された空間みたいだった。これもまた、おそらくダリットに対する周囲の見方なのだろう。ホーリー祭の間は無礼講になるというのに、彼らにはお祭りの”分け前”がなかった。これこそ本当に見て見ぬ振りだ。誰も触れたくないから不可触民って言われてるのかもしれない。
頃合いを見計らってゲストハウスへ。しかしこの汚れのまま戻るのも迷惑だと思い、ガンジス川で1度身を清めることにした(?)。その時は疲れていたため、午前中よりもさらに頭を空っぽにしてそのままダイブした。顔を洗い、服をこする。多少なりとも色は落ちると思ったが、服にも皮膚にもしっかりと沈着していた。川から上がると、手のひらほどの白い布切れがプカプカ浮いているのが目に入った。なんだろうと思い手にとってみると、僕がポケットに入れたままだったマスクだということに気付いた。スリランカに入国した時から外していたから、すっかり存在を忘れていた。日本では未だにマスクをしている人がいるのだろうか、と頭をよぎる。その瞬間に日本という国を強く客観的に感じることができた。日本のことすらよく知らないやつが海外に行って何するんだって意見があるけど、自国のことを深く知るには外国に行き、遠くから手に取るように眺める必要があると思う。
帰宅しシャワーを浴びる。昨日買った石鹸が半分になるまで体をこすったが、最後まで色が落ちることがなかった。諦めて濡れた服を干しに屋上へ行く。からっからに乾いた暑い空気だからまたすぐに着ることができるだろう。屋上には数人のインド人と2人の日本人が踊っていた。男女2人組で最初はカップルかと疑ったが、話してみるとなんと姉と弟だという。兄弟とろくに会話しない僕からしたら驚きの仲の良さだ。お互い仕事を辞めたタイミングが偶然重なり、それぞれ世界旅行中でインドで合流ということらしい。海外旅行ではカルチャーショックを受けると言うが、ここではファミリーカルチャーショックを受けることとなった。しばらく雑談し、夜ご飯を一緒に食べることに。インドで過ごす最後の夜はこの方々とだ。約束の時間まで僕は泥のように眠った。f:id:gaku-diary:20230410070843j:image