日記。

日々の徒然を書き留めてます。

インド旅行2-2

3/3(金)05:00〜

さっき登った階段を再び降りる。所狭しと並んでいる屋台の間を縫って、寝ている野良犬の尻尾に気をつけながら早足で移動する。案内された先にいたのは目から下をスカーフで覆っているリキシャの運転手だ。(多分)ヒンディー語でおっちゃんと運転手が話している。その後すぐにおっちゃんからリキシャの後部座席に押し込められ、ジェスチャー交えて、スマホはカバンの中にしまっとけだの、あまり顔を出すなだの注意を受ける。いいか?ムスリムはベリーデンジャラスなんだ。オーケー、オーケー。おっちゃんの剣幕に気圧されるままリキシャに乗り込む。気付いたら暗闇に向かって走り出していた。

正直楽しい。リキシャはその構造上ドアも窓もないので風がビュンビュン顔に当たる。車体も簡易なつくりだからか、運転が荒いとバッコンバッコンお尻が浮いてしまう。ちょっぴりスリリングなアトラクションに乗っている気分になれるので、今が騙されてる最中ということを除けば良い滑り出しなのではないか。もし詐欺グループならば拠点はそう遠くないはず。まあまあ、お金さえ出さなければいいや。

真っ暗なデリーを連れまわされる。着いた先はトラベルインフォメーションセンターとか書いてある小屋だった。ここにも野良犬がいる。案内されるまま奥に行くと、パソコンとコピー機が置かれた小綺麗なデスクに眼鏡のお爺さんがいた。『ホテルはもう取ってる?』『そこの電話番号は知ってる?』と聞かれるまま答えると、おもむろにお爺さんが電話をかけ始めた。話し手が僕に移ると、電話口のインド人がたどたどしい日本語でこう答えた。『デモが頻発してうちは閉まっている。今すぐデリーから出たほうが良い』・・・まじ?多分嘘なんだろうけど、ここまで手が込んでるとさすがに怖くなってくる。お爺さんの黄色く濁った目が僕を捉えた。オーケー。とりあえず駅に戻ります。事前情報によるとこのまま高額ツアーを案内されるので、逃げるように外に出た。先ほどの運転手に駅に戻ってくれ、と言いリキシャに乗り込む。勝負はここからだ。当然ごねられた。駅に戻ってどうするんだ?と聞かれたが、語気を強めて「駅についてから考える。いいから駅に行け!」と言った。英語で怒鳴ったのは初めてのことだ。そもそも母国語が違うので、自分の意志はより簡潔に、手短に、大きな声で主張しなければならないと思った。今の僕は京都人と対極な存在だろう。よーし。切り替え、切り替え。アタックモードだ。f:id:gaku-diary:20230310182957j:image

駅に戻るが、今度は係員のようなカードを首にぶら下げたじいさんから同じことを言われた。絶対グルだ。この運転手、あえてこのルートを走ったな。その場では「分かった。さっきのインフォメーションセンターに戻るよ」と伝えたが、運転手と2人になるのを見計らって、「おい、マクドナルドに行け。俺ァ今飢えてるんだ!マクダナールド!ストップヒア!!」半分叫んでるけど、万一を考えたらいくらでも暴れられるわい。運転手が振り返る。スカーフが落ちて歯が全くない口元が見えた。ゾクっとしたが、ええい、負けていられるか。嫌がらせのような運転(急発進と急ブレーキを短時間に繰り返す)をしばらく受けたが、なんとか適当な場所で降ろしてくれた。ちくしょう、と思いながらも100ルピーを渡す。相場は知らない。

はぁ、はぁ・・・。いきなり疲れたな。気付いたら太陽は既に顔を出していた。とりあえず一服しようとタバコを取り出したとき、道路の向こう側からゆっくりとおじさんが近寄ってきた。『火、持ってるかい?』「ええ、どうぞ」ライターを渡す。どちらから言い出すこともなく2人で歩き出した。朝霧が幻想的なインドの朝。f:id:gaku-diary:20230310182923j:image